愛犬RON、いかにして保護犬が老夫婦の家族の一員になったのか、ご縁のお話し
<文才がなくて、メモ書き程度、ご了承ください>
※RONのホームページ:http://324wan.webcrow.jp/

 

老夫婦は2年半前にシーズー犬を亡くしていた。

愛犬の名前は初代隊長犬♂のRON。13年5カ月の間、寝食を共にして老夫婦の日常生活に潤いを持たせてくれていた。自然の摂理、愛犬が先に逝くのは覚悟をしていたが、理屈では割り切れない事態を経験、悲しみを引きずり、途方なく、それは老夫婦にとって突然の悲しみであった。

 

時は過ぎ、RONが逝ってから2年後あたりから、又、RONのようなシーズー犬と生活を共にしてみたいと思いを馳せるようになった。

老夫婦の年齢を考えるとワンコと共生する資格があるのか自問自答の日々が続いた。

ワンコを最後まで見届ける自信があるのか・・・・

それなりに歳を取ったワンコであれば見届けられるのでは・・・・

インターネット上の里親探しのページを何箇所もひらいたり、東京都動物愛護センターの譲渡をご希望の方への条件を確認したり、実際に譲渡里親会に参加してみたが、高齢者には譲渡は不可となっていた。

高齢者こそ動物と共生して余生を過ごしたい思いが強いのに譲渡は許されていなかった。

 

老夫婦の夫は「NPO世田谷桜丘まちづくり」(東京都世田谷区)の部会、「わんわんパトロール桜丘」の代表をしている。わんわんパトロール桜丘は良好な街づくりを、地域の住民自身の手で作り上げていくことが必要であると考え、地域住民が安全で安心に快適に住み続けられる街づくりを目指し、ボランティア活動として2004年7月に発足した。

NPO世田谷桜丘まちづくりが所在する桜丘は約9,530世帯、約19,400人の総数を要している。桜丘1丁目から5丁目まであり、周辺は桜、経堂、用賀、砧の地区に囲まれている。

わんわんパトロール桜丘が発足して13年が経過しようとしている。

隊長は永田亮子さん。隊長犬のホッピー君を先頭に120世帯、135頭のワンコが会員として参加し、日頃、街中を楽しくパトロールに励んでいる。テレビ局・テレビ東京の夕方のニュースに取り上げられたり、小学校のセーフティ教室で全校生徒の前で活動報告をしたり、学校への行き帰りの危険個所を示した通学路安全マップ作製に参加したりと活動してきた。ワンコと同伴で同じ散歩をするなら、パトロールしているんだという気持ちをもって、会員同士でパトロールを続けている。

                 

昨年の暮れ(2016年12月)桜丘3丁目に、飼い主のいない犬の殺処分ゼロに取り組む認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ、大西健丞代表理事)は保護した犬の飼い主を捜す拠点「ピースワンコ・ジャパン世田谷譲渡センター」を開設した。

PWJは広島県内で殺処分対象の犬を全部引き取り殺処分をゼロに取り組む。

本部を置く同県神石原高原町で捨て犬など広島シェルターには1300頭の犬を捕獲している。世田谷譲渡センターは広島市、神奈川県藤沢市に次いで3か所目で都内で初めて。都内でも殺処分対象となる犬の保護も始めるという。

プロジェクトリーダーの大西純子さんは「保護を必要とする犬がたくさんいることを多くの人に知ってもらいたい、できれば里親になってほしい。2020年までに全国的な殺処分ゼロを目指したい」と話す。

 

ピースワンコ・ジャパン世田谷譲渡センターが開所した初期段階に老夫婦の夫は、どんな保護犬がいるのか気がかりで、3回訪問した。その時にプロジェクトリーダーの大西純子さんとお逢いした。夫はわんわんパトロール桜丘の代表をしている者ですと挨拶をした。

大西純子さんは情報をキャチしていて、わんわんパトロール桜丘の存在を知っていた。高齢者だと保護犬の譲渡が難しい実態をお話ししたり、わんわんパトロール桜丘とピースワンコ・ジャパンと協力しあえる事があれば実行したいですねと話をした。

それから4カ月後のこと、2017年4月の中旬にピースワンコ・ジャパンの大西純子さんから夫に電話がかかって来た。共催でイベントを開催しませんかと。

イベントの題目は、

第1回犬の散歩で町をきれいに! みんなで楽しく、 ジェントルワン♪ 

        「わんわん マナーアップ 大作戦」

開催の実行日は5月21日。当日は晴れて暑い日だったが40人ほどの方々が参加された。開催終了後、世田谷譲渡センターを見学された方もおられた、成功裏に終了した。

 

一冊の本がある。本の題名は

       命を救われた捨て犬

          夢之丞(ゆめのすけ)   災害救助 泥まみれの一歩

        今西乃子・著   浜田一男・写真 

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン・取材協力 発行所・金の星社

 

この本の中にピースウィンズ・ジャパンの大西健丞さんと妻の純子さんが登場している。

本の内容を一部抜粋・引用させてもらうと、

2010年11月24日。

その日の午後、広島県動物愛護センターの管理棟に初めて足を踏み入れた大西健丞と妻の純子は、がらんとした犬収容室をみてあぜんとした。

「あの…・犬は?」

きょうれつな消毒のにおいが鼻をツンとついた。

処分が今朝終わったばかりなので犬はいません。

案内してくれた職員がたんたんと答えた。

・・・・・・・・・・

静まり返った管理棟の中で、処分機のある前まで足を進めようとしたとき、健丞は「あ!」と声を上げた。処分機の近くに置いてあった小さな犬舎の中に子犬が一匹いる。

「この犬は? どうしてここに1匹だけいるのでしょう?」

・・・・・・・・

「・・・あの・・・今日の処分数がいっぱいで、残った子なんです」

・・・・・・・・・

「この子犬・・・ゆずっていただけませんか?」

健丞は迷わず言った。

 

本の一部を抜粋・引用しました。一度は人間に見捨てられ殺処分寸前で救い出されたこの子犬は連れて帰り、その後訓練を受けて立派な災害救助犬として活躍しています。

この本の著者、今西乃子さんは児童書のノンフィクション作家で著書多数、児童文学者協会会員。保護犬と共生され、ご夫妻ともに動物愛護の活動もされています。

 

2017年6月5日 20時53分。

ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダー大西さんからCメールが届いた。「シーズー犬の件、今週末土曜日(10日)に、千葉県市原市五井まで見に行くことは可能でしょうか?新宿から」。すぐさま2通目のCメールには、「五井駅までのバスがあるそうです」。

2人きりの老夫婦の家庭でワンコと共生するのは難しい話だと理解はしていたが、ひょっとすると出会えるかもしれないと胸を躍らせた。

 

Cメールが届いてすぐ、大西さんに、夜ではあったが電話を入れた。大西さんの話によると、シーズー犬で♂で5歳との事。老夫婦が望んでいたそのものであった。

当日、広島県で大西さんと作家の今西さんが取材で打ち合わせをしていたようだ。その席で今西さんから大西さんにシーズー犬(保護犬)の情報が伝わったようだ。大西さんとの会話の後、電話が作家の今西さんに代わった。今西さんには今週末土曜日(10日)に五井にお伺いする事をお伝えした。作家の今西さまは千葉県市原市五井にお住まいで、近所に五井動物病院があり、ご自宅でも保護犬と共生され、病院とお付き合いがあるようだ。

今西ご夫妻が五井動物病院を訪れた時、病院内に保護犬がいることを知らされる。約8カ月の間保護して、捨てた親御さんを捜しているが見つからない。ワンコは家庭に居る事がいちばんの幸せ。里親を募集しましょうという事になり、6月4日、今西さんがインターネット上に里親探しの募集のページを立上げた。

翌日の6月5日が、先に述べた大西さんと今西さんが取材で出会い、五井動物病院の保護犬の話が出て、RONが老夫婦の家にたどり着く切っ掛けになった運命の日となりました。

 

2017年6月10日(土)。

老夫婦は新宿バスタを利用して千葉県の五井駅東口を目指した。

今西ご夫妻のご自宅にお招きを戴いてRONとの対面に臨む。

新宿バスタからの所要時間は1時間20分となっていたが10分遅れの10時40分に五井駅東口に到着。駅で今西ご夫妻に出迎えて戴き、ご自宅まで車で同乗させて戴いた。

今西さん宅に到着して間もなく、五井動物病院の院長夫人がRONを連れてこられた。

緊張の対面であった。第一印象は、先代のRONより少し大きいかな、骨格がしっかりしているな、RONの面影があるなと感じ取った。一言でいえば気に入った。

8ヶ月間保護していた院長夫人からは、無駄吠えはしません、お散歩も上手に歩けますと教えてもらった。今西さん宅から200メートル先に公園があり、院長夫人に勧められてRONと一緒に公園を目指してみた。一緒に歩いても抵抗感がなく、人の歩きと歩調は合っていた。譲渡を受けることは面接を受けることでもある。お聞きする事はなかったが面接はパスしたと判断して、譲り受けをお願いした。

引き渡しは6月13日と決まった。

今西ご夫妻が千葉県市原市五井から老人夫婦の家まで連れてきてくれることになった。

ご好意に甘えてお願いすることにした。

 

2017年6月13日(火)。

午後1時過ぎに今西ご夫妻がRONを連れて来訪された。

待ちに待った念願が叶った瞬間だった。2年半あまり愛犬との共生が途絶えていたが今日から又、ワンコとの共生ができる。老夫婦にとって最高の喜びで、記念すべき日となった。

今西ご夫妻から、五井動物病院の院長夫人&スタッフ一同からの「RONくん」の情報をまとめた履歴書と1日の朝の食事時間から散歩の時間帯、散歩の時の排便の回数、排尿の回数まで2枚綴りで克明に書き込まれていた書面を手渡された。

これからRONと共生して行く上での貴重な記録で、感謝の念でいっぱいであった。

書面の履歴の一部を抜粋すると

2016年10月4日。(※捨て犬として保護された日)

早朝にキャリーバックに入れられて放置。去勢済み。

歯、目の状態から5歳くらいと判断。

手入れがしてなかった為か、皮膚、耳が赤かったのですが、シャンプーカットと1回の内服投与で、11月には良好。その後、月1のペースでトリミング。

 2016年11月18日。血液検査、問題なし。

 2017年2月2日。8種混合ワクチン接種。

      5月14日。フィラリア血液検査陰性。予防薬投与。

      6月5日。 フロントライン 予防。

      6月9日。 シャンプートリミング

      ・・・・・・・

      ・・・・・・・・・・

と履歴が記され、2枚目のRONくんの1日の生活状況を記した書面の最後には、今回、今西さんに背中を押されて、ワンコは家族と暮らすのが1番だと思い里親さんを探すことになりましたと書かれていた。

10日に今西さま宅でお会いした院長夫人はやさしい人だった。

病院で8カ月間つきあったRONとの別れは辛かったのではと心を痛めてしまう。

 

今西ご夫妻には千葉県市原市五井から東京世田谷までRONを連れて遠路お越しいただいて感謝のしようもない。当日(13日)、今西ご夫婦が老夫婦の家から歩いても7、8分で行けるピースワンコ・ジャパン世田谷譲渡センターの取材に行かれると云う事で、車に同乗してご案内する事が出来た。

 

捨て犬・保護犬が老夫婦の家に迎えられた。その名は推定5歳の♂、シーズー犬RON。ご縁とご縁がつながってのタイトロープだった。

NPO世田谷桜丘まちづくり、ピースワンコ・ジャパン・プロジェクトリーダーの大西純子さん、児童書・ノンフィクション作家の今西乃子さんご夫妻、そして五井動物病院の院長夫人とのご縁がつながり、RONと出会えることが出来ました。

 

人生の方程式は人それぞれ。描いている余生を出来る限り自分の思う通りに過ごしたい。

人生は自分のもの、自分の為に生きる。

ただ、忘れてはならないのは、1人では生きられない。

ここまでの人生、多くの人々に支えられている事を忘れてはならない。

人の恩を感じ取って、どんな形でもよいからお返しをして行かなければならない。

           

−おわり−

  <文責・久保田> 2017,6,17